【さいたま市】洋風瓦(モニエル瓦)の塗装と葺き替え工事

目次
- ○ 瓦の種類
- ・洋風粘土瓦(無釉瓦)
- ・洋風粘土瓦(釉薬瓦)
- ・セメント瓦(プレスセメント瓦)
- ・乾式コンクリート瓦(モニエル瓦)
- ○ モニエル瓦屋根の塗り替え
- ・傷み具合の点検
- ・屋根ケレン
- ・トルネード高圧洗浄
- ・下地塗装
- ・ハケ塗り、ダメ込み
- ・密着テスト
- ・目荒らしケレン
- ・下地塗装2回目
- ・中塗り
- ・上塗り
- ○ モニエル瓦屋根の葺き替え
- ・瓦おろし、桟木撤去
- ・ルーフィング、屋根材張り
- ・葺き替え完了
- ○ リフォームさせていただいて
瓦の種類
一律に瓦の屋根といっても、瓦の種類にもいろいろあります。
瓦は、古くは粘土を形成して焼いたもののみを指していました。
粘土を焼くと瓦なので、煉瓦も瓦という字が入っているように、瓦の一種ということになります。
粘土瓦は、焼いているため耐火性が高く、断熱性もあり、寺社・城などの伝統的日本建築でも用いられるように、なんといっても長持ちです。
ですが、従来の工法では災害に強いとは言えず、強風で飛ぶ、地震の際に落下し避難の妨げとなる、重さで倒壊する建物が出る、などの被害が起き、なおかつ、広域の災害の場合、一帯が同時にその被害にあってしまいます。
そのため、近年の職人の不足や、材料のストックの問題もあり、その全戸の回復には時間がかかってしまいます。
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そういった観点からも、大量生産で施工しやすく、地震や台風の被害の少ない屋根材が多種登場しました。
従来の粘土に代わって、セメント、金属など、様々な素材で作られるようになりました。
これらの異素材瓦は基本的に、従来の瓦に似せたデザインの製品が多いため、遠目でどの瓦かを見分けるのは難しい場合があります。
今回は、洋瓦の場合を紹介いたします。
洋風粘土瓦(無釉瓦)
表面も側面もなめらかです。角がゆるやかな優しいカーブを描いているのが特徴です。
洋風粘土瓦(釉薬瓦)
無釉瓦と同じで表面も側面もなめらかなうえ、ガラス質の釉薬のおかげでつるりとしています。
粘土瓦に塗装は必要ありません。基本的に長持ちです。
ただし、重いため、長年で木材がたわんだり、瓦がずれたり、はがれたりして瓦の下の野地板が傷んだ場合は、葺き替えが必要です。
その場合も、同じ瓦を再利用することもできます。
セメント瓦(プレスセメント瓦)
側面がストンと凹凸がないのが特徴です。
製造方法は、セメント1:砂2で調合したモルタルをプレス(押型)形成した基材瓦に、塗装。
基材瓦は一般的なモルタル外壁と同じ“モルタル“ですから、亀裂などから水が染みこむ危険性があり、塗膜による防水が不可欠となります。
定期的な塗り替えが必要となります。
また、以前はもろくなるため焼きが入れられなかったプレスセメント瓦ですが、現在は様々な複合素材の開発もあり、瓦と同じように釉薬をかけて焼いたものも生産されています。
乾式コンクリート瓦(モニエル瓦)
材質はセメントですので、くくって「セメント瓦」といわれることもありますが、差別化するため、あえて「乾式コンクリート瓦」としました。
多種ありますが、中でも今回ご紹介する洋風の「モニエル瓦」はメーカーがなくなってしまったため現在では入手できない瓦です。
モニエル瓦の製造方法は、セメント1:砂3で調合した低水分のモルタルを押し出し形成した基材瓦に、着色スラリーを塗布し、そのあと色塗装されたもの。
見た目の特長は、側面がボコボコ。プレスセメント瓦とは側面で見分けられます。
プレスセメント瓦と大きく違ってくるのは、瓦基材の砂量と、スラリー層があること。
スラリー層が劣化するとその上の塗膜がいくらきれいに塗れてもはがれてしまうため、スラリー層の完全な剥離か剥離しないようにスラリー層の強化が必要となります。
劣化の度合いによっては葺き替えた方がいい場合もあります。
モニエル瓦屋根の塗り替え
こちらは、さいたま市のお客様。断面がぼこぼこしていているので、モニエル瓦であることがわかります。
今回は塗り替えさせていただいたので、その工程をご紹介します。
傷み具合の点検
オレンジに見えているのがスラリー層。ところどころ白っぽいのが基材瓦です。
ここはかなり基材瓦が見えてしまっています。
屋根ケレン
ケレンとは、塗装面についている汚れなどを取り除く作業を言います。
デッキブラシやワイヤーブラシなどを使って、劣化してはがれかけている部分は手作業ですべて掻き落とします。
トルネード高圧洗浄
通常の高圧洗浄よりも強力なトルネード高圧洗浄で細かい汚れも洗い流します。
下地塗装
スラリー層をすべて剥離させなくても塗装可能な状態でしたので、スラリー層を強化させます。
下地材として、今回は水谷ペイントのエポックマイルドシーラーを使用しました。
基材まで深く浸透し、がっちり密着させる高い補強効果を持つシーラーです。
ハケ塗り、ダメ込み
下地材も細かい部分は刷毛で丁寧に塗っていきます。
続いて「ダメ込み」と呼ばれる作業です。
ローラーで塗りづらい細かい部分を刷毛で塗っていきます。
上塗り材も細かい部分は先に塗ってしまいます。
密着テスト
下地材の密着具合をガムテープ剥離テストでチェックします。
目荒らしケレン
浮きや、下塗り材が塗り足りてないところはチェックしてやり直し。
また、より下地材が密着するよう、目荒らしと呼ばれるやすり掛けをします。
下地塗装2回目
二度目のシーラー(下地材)塗りです。丁寧に塗っていきます。シーラーのおかげでかなりツヤが出ています。
中塗り
塗料を塗布します。ここで初めて全体的に色がついていきます。
塗料は2回塗りますので、「中塗り」と呼ばれます。
今回採用しているのは、3年保証のプロガードルーフSiのIW-107です。
上塗り
最後にもう一度塗料を塗って完成です!
モニエル瓦屋根の葺き替え
もう一軒、ご紹介します。こちらもさいたま市のお客様です。
こちらも側面ががたがたで、モニエル瓦だということがわかります。
ただし、こちらはだいぶ劣化が激しいです。
ほとんど基材瓦という状態です。苔も生えてます。
メンテナンスが必要な瓦だと気が付かずに、雨漏りもないので建ててからそのまま放置されていました。
この状態で、塗り替えを提案するのはかなり勇気がいりますので、この場合は葺き替えを提案させていただきました。
瓦おろし、桟木撤去
手作業で一枚づつ撤去します。写真はモニエル瓦を外した状態です。
瓦をひっかけていた桟木も撤去し。フラットな状態にします。
ルーフィング、屋根材張り
フラットな状スーパーガルテクト態にした野地板に、防水シートのアスファルトルーフィングを張り、その上から屋根材、アイジー工業の「スーパーガルテクト」を葺きました。
スーパーガルテクトは断熱材のついた金属屋根で、洋瓦の1/8と軽いのが特徴。
躯体への荷重が軽減されるため、「屋根が重くて地震で倒壊」という心配はなくなります。
葺き替え完了
葺き替え完了しました!
波状デザインの屋根からフラットな屋根になりました。
スーパーガルテクトの塗膜保証は15年ですので、メンテナンスサイクルがだいぶ伸びますね。
リフォームさせていただいて
この度は、岩建ホームテックでリフォームしていただき、ありがとうございます。
モニエル瓦は、色も豊富でおしゃれでエコロジーな瓦だったため30年以上もたくさんの住宅で採用されてきましたが、現在では販売されておりません。
一部取り換えるための替え瓦の入手が困難なため、一部破損であっても、状況によっては葺き替えなければならない場合もございます。
塗装か、葺き替えかの選択は、メンテナンス周期や今後の建て替え計画などにもよりますので、包括的にご相談させていただければ、お住まいやご家族にとってベストなメンテナンスをご提供させていただきます。
また、こちらの事例をご覧になられて「うちの瓦はどうかな?」と、心配されるようでしたら、点検を。
しかし、二階建て屋根などは、高さもあり危険ですので、ご自身での点検は極力お勧めしません。
どうぞ、岩建ホームテックまでお声がけください。
はしごを使っての屋根の点検、また、お見積りももちろん無料です。お気軽にどうぞ。